1430 旅人

何かの表現をするとき、「突然降りてきた」とか「頭の後ろをがつんとたたかれたようにひらめいた」とか言うことがあるが、西脇の詩は全編がそんな感じのするものばかりである。
コピーライターはみんなそれをねらっているのかも知れない。
キャッチ・コピーという言葉があるが、他人に対して引きつけるという意味よりも先に自分が突然ひらめいてキャッチしたという意味もあるかもしれない。
一般の詩人にしたってある表現はそんな感じで生まれたものかも知れない。
膨大な言葉の海からある言葉とある言葉をくっつけて新鮮なイメージのコピーを作り出すのは容易ではない。
しかし西脇詩ではそれがいとも容易に出来ているような感じがする。
やはり持って生まれた才能、つまり天性のものであるのかも知れない。
「馥郁タル火夫」という詩は、その極致のような詩であるが、西脇のその他の詩は、それに比べればもっと分かりやすい。
「天気」や「カプリの牧人」のようなものと思えばよい。
でもその中に於いて我々の想像を覆すような表現が出てくるところが西脇詩なのである。
「糞」(くそ)を詩の中に入れる詩などは殆ど見ないであろうが、西脇はいとも簡単に「糞」をつかっている。
今回はそれを書き記すことにした。

題「旅人」
汝カンシヤクモチの旅人よ
汝の糞は流れて、ヒベルニアの海
北海、アトランチス、地中海を汚した
汝は汝の村へ帰れ
郷里の崖を祝福せよ
その裸の土は汝の夜明だ
あけびの実は汝の霊魂の如く
夏中ぶらさがつてゐる

今回も575はお休み
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Author:JAZZY
田舎親爺のつれづれ日記。記憶を記録に、記録を記憶に。
Jazz大好き、クラシックも大好き。
JAZZYは邪爺ことよこしまなじじい。
生き馬の目を抜くような世の中、ちょっと立ち止まりしゃがんでみよう。そして斜眼で見える世相を書いてみたい。

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